一般社団法人日本TDM学会

ソフトウェアの紹介

本ページでは、会員の情報源として薬物動態解析ソフトウェアを紹介しておりますが、各々のソフトウェアの動作を保証するものではありません。また、得られた結果、結果の解釈、および各々のソフトウェアを利用することによるあらゆる不利益に対して、(一社)日本TDM学会はなんら責任を負うものではありません。各々のソウトウェアに関する問い合わせは、それぞれのサポートデスクまでお願い致します。

フリーソフト

BMs-Pod

http://bmspod.web.fc2.com/
BMs-Pod とは、臨床での TDM のために作成された血中濃度シミュレーションおよび個別の薬物動態推定・解析のためのソフトウェアである。血中濃度シミュレーションとしては、母集団薬物動態(population pharmacokinetics: PPK)モデルや個別に推定された薬物動態パラメータ値に基づいた投与設計が可能である。さらには、PPK パラメータの確率分布に応じた仮想患者集団を構築し、薬物の標的分子に対する必要濃度などを示す薬力学的パラメータ(pharmacodynamics: PD、微生物で言えば最小発育阻止濃度など)を考慮した、目標 PK/PD パラメータ値の達成率を算出するモンテカルロ法が可能である。また、個別の薬物動態推定・解析としては、最低1点の実測血中濃度を活用したベイジアン推定法や、数点の実測血中濃度を必要とする Sawchuk-Zaske 法、非線形最小二乗法が可能である。
シェアウェアである ver 9.0 では、持続血液浄化療法や、共変量の変化に対応した TDM が可能である。(準備中)

Qflex2

http://www.asahi-net.or.jp/~ui6m-sby/ClinicalPK-Qflex/Qflex2.html
2012で更新は終わっている。
シミュレーションに使用する薬物動態モデルは、1-コンパートメントモデルおよび2-コンパートメントモデルの2種類で、それぞれ次の3種類の投与経路モデルが組み込まれています。(ソフトウェア添付Read.meから引用)

  • 1-コンパートメントモデル
    • 1. 経口投与
    • 2. 急速静脈内投与
    • 3. 点滴静注(一定時間かけた静脈内投与)
  • 2-コンパートメントモデル
    • 1. 経口投与
    • 2. 急速静脈内投与
    • 3. 点滴静注(一定時間かけた静脈内投与)

TDMCAL

http://www.asahi-net.or.jp/~ui6m-sby/ClinicalPK-Qflex/TDM-Cal.html
2012で更新は終わっている。
本プログラムはBayesian 法を用いて、1ポイントの薬物血中濃度から患者個々のパラメータを推定し、投与計画を行うためのプログラムです。本プログラムは第10回日本病院薬学会(2000年・京都)で発表したもので、日本人の母集団パラメータが内蔵されています。(ソフトウェア添付マニュアルから引用)

Easy TDM

市販解析ソフト
http://easytdm.com/
「Easy TDM」は、より容易に、より多くの臨床現場においてTDMに基づく薬物治療が実現されることを目指して開発されたTDM支援ソフトです。薬物血中濃度推移のシミュレーションには、母集団パラメータの平均値を用いた手法と、薬物血中濃度の実測値を用いたベイズ推定による手法を用いることができます。解析対象薬剤はバルプロ酸、フェノバルビタール、テオフィリン、ゾニサミド、ジゴキシン、炭酸リチウム、ピルシカイニド、フェニトイン、バンコマイシン、ハベカシン、テイコプラニンです。さらに最新バージョンでは、レベチラセタム、ラモトリギン、メロペネムの解析が可能となりました。これら以外の薬剤についても、任意の母集団パラメータ値を直接手動入力することにより解析が可能となります。また、一部の薬剤についてAUC24、Cpeak到達時間・濃度、%T>MIC、アルブミン補正、Vmax等を表示できます。今後も引き続き、機能追加・改善を行っていく予定です。

Easy TDMの操作方法については、ウェブサイトの解析実例や「Easy TDM操作ビデオ」 (http://easytdm.com/?page_id=1087)のほか、「ZERO→ONE スタートアップTDM」(株式会社 南山堂 より刊行) でもご確認いただけます。

OptjpWin Spreadsheet

http://www.pharm.kitasato-u.ac.jp/tdm/41.htm
OptjpWin Spreadsheetは,基本ソースとしてOPT 1)~5) version 4 を用いて開発した第1世代のOPT日本語版®,第2世代のOPTJP,第3世代のOptjpWinを経て開発した第4世代のTDMソフトウェアである。操作性の改善に重きをおいて開発し、改良を続けてきた。詳細はCD-ROM付の既刊6) (株式会社じほう) を参照されたい。

  • 参考文献
    • 1) Kelman AW, Whiting B, Bryson SM. OPT : A package of computer programs for parameter opimization in clinical pharmacokinetics. Br J Clin Pharmacol. 1982; 14: 247-256
    • 2) Kelman AW, Whiting B, Bryson SM. Parameter optimization in Clinical pharmacokinetics. Computer programs in Biomedicine. 1982; 14: 239-248
    • 3) Whiting B, Kelman AW, Bryson SM. Application of Bayesian forecasting techniques in the analysis of routine clinical and laboratory data. Marcell Dekker, NY, 1982
    • 4) Vozeh S, Hillman R, Wandell M, Ludden T, Sheiner L: Computer-Assist Drug Assay Interpretation Based on Bayesian Estimation of Individual Pharmacokinetics ; Application to Lidocaine, Ther Drug Monit 1985: 7; 66-75
    • 5) Whiting B, Kelman AW, Bryson SM, Derkx FHM, Thomson AH, Fotheringham GH, Joel SE: Clinical pharmacokinetics : a comprehensive system for therapeutic drug monitoring and prescribing. Br Med J 1984; 288: 541-545
    • 6) 篠崎公一(編著). OptjpWin Spreadsheet TDM 症例解析テキスト. 株式会社じほう、東京、 2015
    • (文責:篠崎公一)

ClinKinetics-K (東京女子医科大学病院薬剤部)

http://www.twmu.ac.jp/pha/gyomu-yakuzai.html

  • ・薬物動態シミュレーションプログラム「ClinKinetics-K」
  • ・ベッドサイドでの簡便な初期投与設計・投与変更「PK Calc Sheet」

適切な投与設計で有効かつ安全な治療に貢献します。抗菌薬の効果を最大限かつ副作用の発現を最小限にするために、抗菌薬のTDMと投与設計を積極的に行っています。病棟担当者が病棟業務の一環としてTDM業務を行っており、TDM担当者と連携を取りながら、抗菌薬の適正使用のためにTDM症例全体の管理を行っています。特に画一的な投与量では至適血中濃度のコントロールが困難な高齢者や、腎機能低下、循環動態が不安定で、血中濃度の変動が大きい患者さん、血液浄化療法を受けている患者さんは集中的に管理しています。そのために感染症科医師、細菌検査技師らとの情報共有や協力は欠かせません。血中濃度を介して治療効果や副作用など、患者さんの病態をモニタリングすることを心がけています。

SAKURA-TDM

https://ncuh-pharmacy.jp/pharmacy/business/tdm


近年、抗菌薬TDMの領域ではModel-informed precision dosing(MIPD)の概念が普及し始めている。MIPDとは、数理モデルに基づいた血中濃度予測の限界を理解した上で、合理的かつ精密な投与設計を行うことである。MIPDを実現するための解析ツールには、根拠に基づいた品質保証と臨床現場での使いやすさが求められる。TDM支援ソフトSAKURA-TDMは、初期投与設計と実測値に基づく投与設計の両方に対応しており、2回目以降のTDMでは前回のトラフ値からの解析を実施することができる(図1)。薬物動態パラメータの推定には、山岡 清先生が開発した非線形最小二乗法アルゴリズムMULTI2 (BAYES)を使用している。また、AUC(定常状態および非定常状態)の推定値は自動計算され、患者情報の入力から血中濃度予測曲線の描写および推奨投与量の算出までの一連の操作を自動化していることから、入力操作ミスなどのヒューマンエラーを軽減できる仕様となっている。さらに、解析結果を電子媒体で保存することができるため、実臨床だけでなくサーベイランスや臨床研究、教育現場での使用が期待される。

製薬企業提供ソフト

TOWA-TDM (東和薬品株式会社)

https://med.towayakuhin.co.jp/medical/useful/tdm.php

  • テイコプラニン点滴静注製剤用 TDM解析支援ソフトウェア TOWA-TDM(TEIC)
  • バンコマイシン点滴静注製剤用 TDM解析支援ソフトウェア TOWA-TDM(VCM)

Microsoft Office Excel(Microsoft社)マクロプログラム形式のTDM解析支援ソフトウェアで、テイコプラニン点滴静注製剤用、及びバンコマイシン点滴静注製剤用の2種類が提供されている。両ソフトウェアで共通の構成で簡便な操作画面を採用し、ソフトウェア使用経験者はもとより、学生など初めて使用する方にも見やすく、分かりやすい操作性をコンセプトに開発された。

    主な機能
  • ◆患者リスト機能
    • 患者情報や投与計画などの参照・検索ができる。
  • ◆初期投与設計
    • 参考となる計画やグラフを比較しながら検討できる。
  • ◆ベイジアン法による動態パラメータ推定 / 投与計画
    • 患者情報や投与記録・採血記録から動態パラメータを推定し、血中薬物濃度推移をグラフ化できる。
    • 指標としてトラフ値またはAUC値を設定できる(バンコマイシン点滴静注製剤用のみ)。
  • ◆Sawchuk-Zaske法(SZ法)による動態パラメータ推定 / 投与計画(バンコマイシン点滴静注製剤用のみ)
    • 投与記録・採血記録から動態パラメータを推定し、血中濃度推移をグラフ化できる。また、指標としてトラフ値またはAUC値を設定できる。
  • ◆報告書作成
    • 印刷またはExcel出力し、特定薬剤治療管理料の算定根拠として使用できる。
  • ◆血中薬物濃度測定法の学習コンテンツ(テイコプラニン点滴静注製剤用のみ)
    • 主な測定法を紹介している。

入手ご希望の方は医薬情報担当者にご連絡ください。

TDM解析ソフト (Meiji Seikaファルマ株式会社)

  • ハベカシン®TDM解析ソフト Ver.3.3
  • バンコマイシン「MEEK」TDM解析ソフト Ver.3.3

本ソフトウェアは患者における薬物動態を把握し、投与設計を行う上での参考値(推定値)を提供することを専ら目的として開発されたプログラムです。

  • 1. 患者の採血データがなくても、患者背景と母集団パラメータ平均値を用いて行う初期投与設定が可能です。
  • 2. 患者背景とTDMデータ最低1点から、患者個人の薬物動態パラメータを推定し、より適切な投与方法を示すベイズ推定による投与設計が可能です。
  • 3. 患者のTDMデータ3点と投与記録から、より適切な投与方法を示すSawchuk-Zaske法による投与設計が可能です。

ハベカシン®、バンコマシン「MEEK」による治療を行われるに際しての最終的なご判断は、本ソフトウェアによって提供される参考値のみならず、ハベカシン®、バンコマシン「MEEK」の効果、副作用などの情報も総合的に勘案され、本ソフトウェアを使用される先生方のご判断にてお願い致します。
本ソフトの使用にあたっては、使用上の注意をお読み下さいますようお願い致します。
入手・使用方法などは、ご施設の弊社医薬品情報担当者までご連絡ください。

SHIONOGI-VCM-TDM S-edition Ver.2014 for Windows (塩野義製薬株式会社)

  • 点滴静注用塩酸バンコマイシン TDMデータ薬物速度論的解析支援用ソフトウェア
  • SHIONOGI-VCM-TDM S-edition Ver.2014 for Windows

本ソフトウェアはMicrosoft Excel上で作動します。(Windows 10 + Excel 2016での動作確認済)
点滴静注用塩酸バンコマイシン投与患者における薬物動態を把握し,投与計画を立案するためのプログラムです。得られる数値は全て推定値であり,投与計画を立てる上での参考値を提供します。

  • 本プログラムは次の機能を有します。
    • 1. 初期投与計画:患者背景を基に,初期投与量・投与間隔の算出
    • 2. 最適投与計画:血中濃度測定値に基づく推奨投与量・投与間隔の算出
    • 3. 血中濃度シミュレーション:薬物動態パラメータ,投与方法入力による血中濃度グラフの表示
    • 4. Sawchuk Zaske 法による投与計画:血中濃度測定値を基に解析を行い,推奨投与量・投与間隔の算出
    • 5. 薬物動態/薬力学(PK/PD)パラメータ計算と投与計画:解析に使用した薬物動態パラメータでの投与設計に基づく PK/PD パラメータの算出及びPK/PD パラメータに基づく投与設計

⼊⼿⽅法などは,ご施設の塩野義製薬医薬情報担当者までご相談ください。

テイコプラニンTDM解析支援ソフトウェア (サノフィ株式会社)

http://e-mr.sanofi.co.jp

  • 患者情報シート:患者の基本的な情報(投与記録、採血記録など)を入力
  • 初期投与計画:添付文書内の投与計画が自動的に表示される。必要に応じて任意の投与計画を入力することも可能
  • 血中濃度推定:薬物動態パラメーターやグラフの表示
  • 今後の投与計画:ベイズ推定法により得られたパラメーターにより、血中濃度グラフが描かれる。投与計画は任意に追加、変更できる
  • ソフトウェア取得:上記リンク、サノフィ株式会社の医療従事者サイト「eMR」の注射用タゴシッド製品ページからダウンロードが可能。ただしMRによるソフトウエアのCD-ROMによる提供は終了している。
  • 保守:マイクロソフト社による関連するソフトのバージョンアップには都度、対応状態の確認を行う。

シベノール錠TDM推定サービス(トーアエイヨー株式会社)

https://cardio-1.toaeiyo.co.jp/CibTDM/
抗不整脈薬シベノール錠の腎機能を指標とした初期投与量推定および、TDM実施後の血中濃度推移のシミュレーションができます。

市販されている薬物動態解析ソフト

NONMEM®

https://www.iconplc.com/innovation/nonmem/

 NONMEM(Non-linear Mixed Effect Modeling: 非線形混合効果モデリング)とは、母集団の薬物動態(population pharmacokinetics: PPK)を推定・解析する方法のひとつである。NONMEM 法による PPK 解析の特徴のひとつに、被験者 1 人当たりの血中濃度の測定数が少なくても解析可能な点がある。また、薬物動態に影響を与える因子(共変量)の同定や、個体間変動、個体内変動(残差変動)の算出が可能である。NONMEM 法による PPK 解析を可能にするソフトウェアとして、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のthe NONMEM Projectが開発した解析ソフト、現在の取り扱い社ICON 社(ダブリン、アイルランド)による「NONMEM®」が最も有名である。NONMEM®を用いた解析をより効率的に行うツールのひとつにWings for NONMEM (WFN:http://wfn.sourceforge.net/)がある。

料金体系:年間ライセンス料($)(非営利組織料金あり)

国内に代理店はなく、購入方法はICON plc (https://www.iconplc.com/innovation/nonmem/)を参照、またはacademic-soft社(https://www.academic-soft.com/detail.php?id=3214)から日本語による仲介も可能。

Phoenix® WinNonlin, NLMETM

https://jp.certara.com/software/phoenix-nlme/

 Phoenix NLMEは業界標準であるPK/PD解析ソフトウェアであるPhoenix WinNonlinを開発するCertara社(米国ニュージャージー州)によって開発された母集団薬物動態・薬力学解析専用のソフトウェアである。Phoenix NLMEではNONMEMと同様の計算理論に基づいた母集団PK/PD解析を実行することが可能である。プログラミング経験の浅い研究者から多くの解析経験を有する研究者まで幅広いニーズに対応する高性能かつユーザーフレンドリーな操作画面を搭載し、効果的な母集団モデルの構築および解析を支援する。また、TDMにおいて活用される母集団モデルに基づく患者の数点の採血データから血中濃度の推移を予測するベイズ推定にも対応する。

料金体系:年間ライセンス料(¥)

国内のソフトウェア販売はサターラ合同会社(東京都港区)が手掛ける。ソフトウェアを購入したユーザーには、日本語による技術的なサポートや無料のソフトウェアトレーニングが提供される。
サターラ合同会社問い合わせ先
ホームページ: https://jp.certara.com/

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